リリースか、キープか?

リリースか、キープか?

SNSやブログ等でしばしば白熱するお題目として「釣った魚を大量にキープするのはケシカラン」という議論があります。数十匹の釣果を並べて、また大きなクーラーボックス満タンの写真をSNS上にアップすると、いわゆる「炎上」状態になることもあります。

その手の議論には乗らない様にしております。しかし、個人的に思うところもあり、ここに私なりの考えを纏めてみました。

※決して、この記事を読んだ方に何かを強制するものではありません。あくまで私個人の考えを述べた記事です。

私のスタンスは「ほどほどにキープ」

いきなり玉虫色の結論で心苦しいのですが、私は全ての魚をリリースはしませんし、大量の魚を無理に持って帰るような事もしません。何事も「ほどほど」が良いと思っております。

とはいえ、持ち帰る判断にも幾つか基準がありまして、まずは「自身、またご近所で消費できる量を超えて持ち帰らない」ということが基本になります。持ち帰った魚を消費しきれないからと言って捨てるような輩には共感できません。

※私の場合は、グレ釣りなら40センチ以上の魚であれば2~3匹、干物等に加工して日持ちのする小型のイサキは10匹程でしょうか。

次に「やむを得ない場合を除き、リリースしても死んでしまうような場合はキープ」です。死魚のリリースは他の生き物に捕食されることで命が廻るという意見も理解しておりますが、私としては釣った魚を「捨てる」という行為がどうにもできません。

※タチウオのジギングはスレで釣れることも多く、どうしてもリリースできない場合があります。私の場合は渋い時期以外はリアフックのみのセッティングとしてスレを極力減らしていますが、それでも全ては避けられません。釣果が10匹を超えたら、それ以降に釣れた魚は針掛かりの状態次第でリリースできるか否かを判断しています。

いずれにせよ、魚の種類や大小に限らず”命”を粗末に扱う行為はしないよう肝に銘じております。

小さい魚は逃がせ?

「資源保護のために小さな魚はリリースしましょう」

これもよく言われることですよね。しかし資源保護を考えるのであれば未成熟の小型魚をリリースするよりも、大量の卵を産卵する可能性の高い大型魚をリリースする方が圧倒的に有効だと思います。特に小型魚は天敵も多く、産卵できるサイズに成長するまで生き残る確率を考えると、リリースによる資源量への影響は非常に小さいのではないかと考えております。

とはいえ、釣り人なら誰しも記録級の魚は持ち帰りたいと思うでしょうし、私もその気持ちは大いに分かります。

比較的釣りやすい小型魚のリリースを推奨するのであれば、「魚の命に責任を持って、むやみやたらに持ち帰るような事はしないでね。」というある意味道徳的な訴えの方が、資源保護よりも理解しやすいですね。

バスフィッシングという奇跡

キャッチ&リリースという点において、ある意味理想的な世界を構築しているのがバスフィッシングです。本場アメリカからバスフィッシングが伝来した際に、キャッチ&リリースの精神も受け継がれたのでしょうか。

私も長い期間琵琶湖でのバスフィッシングをやってきましたが、リリースまで含めてバスフィッシングだと理解しています。今現在の状況は存じませんが、昔はメディアやメーカー、著名アングラーも「いかにバスにダメージを与えずにリリースするか」といった情報をよく発信していましたね。

※私もネスト(産卵床)含めスポーニング直前の個体を狙ったサイトフィッシングは一切しないというスタンスを子供ながらに持っておりました。周囲からは理解されませんでしたが。

それだけに、その昔滋賀県で小池知事時代に発動された通称「リリース禁止条例」および外来種駆除に対する補助金には憤慨したものです。今でも納得しておりません。本記事とは毛色の違う話題ですので深く語りませんが、また気が向いたら記事にしたいと思います。

メーカーやメディアにどうしても言いたいこと

クーラー満タンを誇らしげに誇示する風潮や、束釣り(一人で100匹)という結果を称え煽る報道。是非とも止めて頂きたい。

その行為について資源がどうこうといった事ではありません。「大漁=素晴らしい」という風潮を、釣り業界自身が発信している現状に悲しみを感じております。

大漁の釣果をSNSで誇示することが釣りの楽しみだとは思いません。SNSなど無くても、インターネットなど無くても、釣りは昔から愛されてきた遊びです。

釣りという遊びにおける「魚を釣る」行為そのものをクローズアップし、その楽しさを多くの人に伝えられてはいかがでしょうか?